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2008年07月19日

[精神面]食欲第一主義からの脱却

2008年07月19日 15:42 | 手法(精神面) , ダイエット手法

かつて自分が控えめに見ても肥満体だったころ。ダイエットに成功した女性からあるアドバイスを貰ったことがある。彼女曰く、「ダイエットをしようとしている人のほとんどは、食事をすること、美味しいものを食べることに生きがいを感じているくらい、食に対する欲求が高い。それが食欲をおう盛にさせて、つい食べ過ぎてしまうことにつながる。だから、自分の考え、思考の向きを変え、他のことに生きがいや楽しさの重点を傾け、飽食への欲求を二の次三の次にするという考え方にするのが、もっとも効果的なダイエット方法である」ということだった。

自分のことを振り返って考えてみよう。個人の自由だから食いしん坊万歳、食道楽、それは大いに結構。だがそれで、ダイエットを必要とするくらいに身体に負荷をかけていたり、不健康になり、さらにはさまざまなマイナスの影響を受けたり果ては寿命を縮めてしまったのでは本末転倒でしかない。

食を楽しむのは悪いことではない。むしろ奨励されるべきだ。「衣食住」という言葉や人間の三大欲望である「食欲・睡眠欲・性欲」にあげられる通り、人間に不可欠な行動である食事を、生命の維持のための行動としてだけではなく、それ自体を楽しむという考え方は素晴らしいものである。

だからといって、大量に好きなものを次から次へと口にしたり、常に満腹感を味わったり、食について贅沢の限りをつくした挙句、ダイエットが必要な身体になり、他のさまざまな点において損をしてしまっては何にもならない。もし仮に「太っていると色々損することもあるけど、それでも毎日腹いっぱい好きなものだけ食べたい欲求の方が大きい」というのなら、その考えは改めるべきであるし、そこから脱却しない限り仮に体重を減らすことに成功しても、すぐにリバウンドしてしまうに違いない。

必要以上にモノを食べてしまう。これは満腹欲なり豪華絢爛な料理を食べたいという欲なり色々なカテゴリーに分類できると思うが、大きくまとめるのなら「食欲第一主義」という言葉に言い換えることができるだろう。他のデメリットを差し置いても食欲への傾注度が一番なので、食が優先してしまうのだ。

逆に考えれば、ダイエットにとってはマイナスでしかない過食(世間一般に言われる「食べすぎ」はもちろん、身体が求める必要以上のものを必要でない方法で採るという意味も含める)を抑えるためには、まず「食欲第一主義」という自分の価値観を変える必要がある。かのアドバイスも、そのことを意味しているのだろう。

食にまったく興味を失ってしまうと生命そのものの危機に陥るから、そこまで極端にする必要はない(ダイエットをしたくて絶食する人の話もたまに耳にする。修行僧が行う断食とは別のもので、単に生命の危険をもたらすものでしかない)。その上で、自分の行動を位置づけるモチベーションや趣味趣向、考え方の上で、「食べることが何より大事」という思いが強烈に位置づけられているのなら、まずはそこから改めよう。

世の中、楽しいことはいくらでもある。心の中における自分の趣味への傾注度を意図的に高めるのもいいだろう。仕事やボランティア、スポーツ、何でもかまわない。「ダイエットをする必要がある」という状況を逆手に取り、ダイエットそのものを何より楽しいと考えてみる。成果が出れば、やる気も増すはずだ。

一番簡単でやりやすいのは、食事に関するあれこれを楽しいと思うこと。もちろん食べること自体ではなく、作ったり、材料を探したり保存したりなど、自炊の面で、だ。ダイエット中の食事制限の過程で色々と調べる必要が出てくるだろう。また、実践しなければならないことも多い。失敗も尽きない。自炊の場合は特にそうだ。

だがそれらを「仕方なく時間を浪費している」のではなく、「楽しい自炊の時間を過ごしている」と気の持ち方を変えてみてはどうだろう。食の選択そのものが楽しいと考えてみてはどうだろう。スーパーに行く時も、いろいろと考えねばならなくなる。ただ欲しい、食べたいというこれまでの欲求で手を伸ばしていた食材が、考えた上でチョイスをしなければならなくなるため、それだけ思惑に対する選択の幅が広がり、楽しくなってくるはずだ。

要は気持ちの持ち方次第なのである。


[まとめ]
・食べることこそすべて、第一の欲求という考え方を改める。


[自分の場合]
本文中にもある通り、仕事先の同僚でもあった女性から受けたアドバイスについては、その時は「そんなものかな」「判ってはいるんだけど」という程度のものとしか受け止めていなかった。だが自分が(恐らく肥満も一因とした)ネフローゼ症候群という病気を発病し入院、現在に至るまで加療を続けるに至り、彼女が言わんとしていたことが身にしみて理解できた気がする。

直感や反射神経、本能による衝動的行動を除けば、人間は理性、知的思考によって行動を決定し、実行していく生き物である。そうである以上、考えを変えることは本人の行動を大きく変えるに違いない。

現在の自分といえば、やはり本文にあるように「制限の中でいかに食を楽しむか」「自分のつたないスキルと限られた材料、時間などでどれだけ美味しいものを簡単に作れるか」そのもの、そしてそれらを知るための情報収集に興味が移りつつある。昔ならともかく、今はインターネットを使えば、ありとあらゆる情報が入手できる。この点においてだけでも、ダイエットはしやすくなったといえるだろう。

もちろん食欲が無くなったわけでもなく、今でも自分の好きなものをたらふく食べたいという欲求はある。美味しい香りがする場所(例えばレストランや屋台など)を通り過ぎると、ついつい気が向いてしまう。だが今は「食べたいな」という気持ちと同時に「余計なものを食べるとこれこれこういうことが待っているぞ」という抑えの気持ちが同時に働き、衝動買いならぬ衝動食いを止めさせてくれるのだ。自分の場合は特に、「病気が再発、悪化するかもしれない」という抑えが強いが、単にダイエットをしたい人なら「身体が不健康になる」「体重が余計に増える」「ダイエットに失敗するかも」ということにすれば良いだろう。何度も意図的に繰り返し、自然にこういった思いが出てくるようになれば、半ば健康のためのダイエットは成功したと思ってもよい。

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