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[1](序章:入院前)
| 入院編
思い返してみれば、一昨年の夏から症状が出ていたのかもしれない。
一昨年の夏あたりから、坂道を登る時に息苦しさを感じるようになった。元々子供の時は喘息持ちで、今でも体調が悪くなるとその後遺症が出ることがあるのと、肥満気味の体格のこともあわせ、「運動不足かな」「年なのかな」と考え、あまり気にはしていなかった。
だが秋口以降になっても呼吸の苦しさは収まらないし、少しずつではあるが状況は悪化しつつあるように感じた。おまけにお腹の痛みも感じる。胃炎か何かかかもしれない、と会社そばのM病院で調べてもらう。
M病院で色々調べたが原因はよく分からず、とりあえず胃炎の薬を何種類かもらって飲み、通院することになった。が、状況は改善せず、さらに下半身のむくみまで生じるようになった。冬になると息苦しさはますます酷くなる一方、むくみも目に見えて悪化。靴や靴下がこれまでのサイズでは履けなくなったころになると「これは肥満じゃなくて、何かの病気でむくんでいるんだ」と自覚する。
ところがM病院の医者はむくみ、特に足の部分のことを訴えても「太ったんでしょ?」の一点張りでこちらの言う事を信じてもらえない。元々の体格が体格だからぐうのねも出ないが、それにしても酷い。下半身のむくみなどで一度別の専門病院へ行く事を薦められたが、そこでも結果は「不明。他の部分の悪化が原因でむくみを生じているようなので、その原因を取り除かねばならないがうちの専門ではない」と送り返されてしまった。
お手上げ状態となったM病院の医者は、大学病院で詳しい検査をすることを薦めた。いくつか提示された病院のうち、自宅から近めのN病院を選択。そこへの紹介状を書いてもらう。
今年の正月過ぎにN病院へおもむき、検査を終え、問診を受けると医者はすぐに「あぁ、これは典型的なネフローゼですね」とあっけなく答えた。「すぐに分かりましたよ」と一言おいて説明する医者の言葉に耳を傾けつつ、病名と対処法がはっきりしたことに安堵を覚えると共に、誤診と言われても仕方ないような診断、治療をしたN病院に怒りを覚えた。N病院での無駄な数ヶ月が無ければあるいは、と思うと今でも悔やまれる。
症状としては比較的軽い方だったようで、入院はせず、通院と検査、それに薬の投与と軽度の食事療法の実施のみの治療と判断された。月一度程度の通院などで症状は改善し、夏過ぎにはむくみもほとんど取れた。今から考えてみればこれで大丈夫かな、という油断がこの時にあったのかもしれない。
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