UO が 3D になった理由
(注釈)
文中で出てくる UO:TD とは、2001年3月に発売された 「UO:The Thard Dawn」、日本名「第三の夜明け」の事ですが、ここではその時に追加された「3D クライアント」の事を指します。
この日記を書いた時点では 3Dクライアント はまだ登場していないのですが、書かれていること自体は確かであり、3Dクライアントが UO 導入された理由のひとつです。
ただ、現在の UO を見ると、それが成功しているかと言われれば・・・ 難しい所ですね。

(2001年2月記)

今日、ついに UO:TD の先行予約が開始されました!

期待と同時に、不安も広がっています。
「重くないんだろうか?」 「操作しにくそう」 「位置関係がわかりにくい」 「絵がダサそう」 「TD 以外のプレイヤーが軽視されそう」 などなど・・・

これらの不安は私も持っています。
少なくとも、各所で公開されているスクリーンショットを見る限りでは、絵がやっぱりダサいと思うし、無理やりな3Dグラフィックに違和感も覚えます。
動きもあまり良くない、という話を聞きますしね。

でも、私は UO は進化し続けるネットゲームとして、3D化が必要不可欠だと考えています。

オリジンの発表では、UO:TD が3Dクライアント化するのは、「最新の3Dグラフィックで UOを表現するためと、今後の拡張性のためである」とコメントされています。

このうちグラフィックに関しては、私は3Dになるのは特に重要ではないと思っています。
そもそも3D化の話が最初に持ち上がったのは、雑誌の評価が影響しているような感じでした。

NICOLE さんのページでもだいぶ前に紹介されていましたが、アメリカのゲーム雑誌で UO は EQやACなどの他の新しいネットゲームと比較され、「絵が2Dでダサいうえに、モンスターも地形に引っかかるほどバカ」とさんざんボロクソに書かれたのです。
モンスターの AI が地形に引っかからないよう改良されるという発表が出たのはその直後で、3Dグラフィックの話が出始めたのも時期的にその頃でした。
まあ、実際 EQ などの新しい3Dネットゲームに対しての危機感があった事はわかりますし、そういう考えが出るのも普通だと思いますが・・・
でも、EQ や AC とは発売した年が2年以上も違うんだし、ゲーム内容もコンセプトも異なるのですから、ほっとけばいいのに、なんて思ってしまいますけどねー。


しかし、UOが3D化するのはこのグラフィックのためではなく、もう1つの理由、「拡張性」のために必要な事だと思います。

画面にキャラクターを表示する時、2Dでは「スプライト」というものを使います。
このスプライトはつまり「絵」で、予めデータとしてその絵を用意しておき、それを画面に置く事でキャラクターを表示する訳です。
アニメーションさせたい時は、その動きの1コマ1コマに別々の絵を用意しておき、それをパラパラマンガの要領で何度も表示する事でアニメーションを表現します。

一方3Dグラフィック、つまり「ポリゴン」では、これとは全く表示方法が異なります。
例えば、四角を表示したい時、スプライト(2D)ではその四角の絵を予め用意してそれを画面に置くのですが、ポリゴン(3D)では四角の頂点となる4点の座標を指示し、表示する時にその頂点を線で結び、その線で囲まれた範囲を「面」として画面に表示する事で、四角を表現します。

つまり、ポリゴンではキャラクターを画面に表示するのに「絵」としてのグラフィックデータを予め用意する必要がなく、頂点座標を指示するだけで良いのです。
また、それを動かす時も1枚1枚その動きの絵を用意する必要がなく、座標の動きの方向・スピード・距離などを指示すれば良い訳です。
ポリゴンの表面に表示する「テクスチャ」と呼ばれる絵は必要になりますが、これは様々な形で流用などが効きますし、スプライトよりも遥かに少ないデータで見違えるキャラクターを表現する事が可能です。

ただ、ポリゴンはその表示や動きをリアルタイムにコンピューターが行うものであるため、大きな処理能力を必要とします。
グラフィックボードの3Dアクセラレータと言うのは、つまりそれを肩代わりしてくれたり、補助してくれたりするものです。
ですから、グラフィックボードやCPUの速度が遅いと、ポリゴンはその動きが遅く、ぎこちなくなってしまいます。

ですが、ポリゴンなら座標の指示だけで新しいモンスターやアイテムをかなりの自由度で作り出す事ができるのです。
従来の2Dスプライトの様にそれ専用の「絵」を必要とせず、数値データの追加で可能だからです。
さらに、新しい動きも前より遥かに楽に加えられます。
座標の移動方向やスピードなどを指示するだけですから、修正なども効きやすい訳です。

UOではこれまで、新しいアイテムは従来のアイテムの色違いか、すでにデータが入っていたが未使用だったグラフィックを引っ張り出してきて作っていました。
しかし、それにもさすがに限界があります。
すでにデータとして UO に入っている 2Dグラフィックはほぼ全て使われています。
モンスターに至っては、新しいものを作ることは色違い以外ほぼムリです。

こう言うと、「新しいグラフィックデータを追加すればいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、UOのグラフィックデータは複数のグラフィックが1つの大きなファイルにまとまっています。
これはプログラム的な処理を速めるためと、ファイルが大量の数になってしまわないようにするためで、一般的な方法です。
ただ、そのために新しいグラフィックを追加しようとしても、この大きなファイルを丸ごと更新する必要があり、おまけにグラフィックデータは元々サイズの大きなものです。
それをパッチで送信しようとすると何十、何百メガという非常に大きなパッチとなり、さすがに非常識です。
T2A の時は「CDを新たに配給する」という方法でグラフィックを追加した訳ですが、新しいモンスターやアイテムを追加するたびに CD を出す訳にもいきません。

3Dのポリゴンとなる事によって、UOは今後大きな拡張性を持つ事になります。
ユーザーは常に新しいモンスターやアイテムを求めており、それらの追加は進化し続けるネットゲームとして必要な事でしょう。
UO:TD による3D化によって、それが今よりもずっと技術的に楽に行えます。
オリジンの言うように、UOが10年持つバーチャルワールドなシステムであるためには、拡張性のために3D化する事が必須だと思います。
UO:TD は、発売された時点よりも、その後が楽しみなシステムだと言えるでしょう。

と、言うだけ言ったけど・・・

でもやっぱり、実際にやってみてメチャ重かったり超ダサかったりしたら、やっぱり文句出るよねぇ・・・。(^^;