アカウントハック事件
(注釈)
これは 1999年の正月にあった話です。
時期としては、「Asuka サーバー土地争奪戦」のお話の数日後の事です。
この一件で、私の UO に対する価値観やプレイは大きく変わってしまいました。
アカウントハックと言うのは人事ではありません。
ハッキング事件は後を絶ちませんし、UO のハッキングで実際に警察に逮捕された人も何人も存在します。
しかし、まだこの当時はそう言ったネットゲーム(およびインターネット)での犯罪行為の取り締まりは甘い頃でした。(ハイテク犯罪防止法案も可決する前の事です)
ですが教訓として、このお話はぜひピックアップしておきたいと思います・・・
(1999年11月記)
今日は、かつて私が被害を受けたアカウントハックの話をしようと思います。
直接のアカウントハックを受けたのは私の友人でした。
それは、去年の年末から今年の正月の出来事でした・・・1998年のクリスマス、UOでもクリスマスプレゼントのチケットが配られました。
このチケットには #00000〜#99990 までの10ごとのナンバーが振られており、同じ番号のチケットを持っている人を見つけて互いのチケットにそれを使えば、プレゼントと交換できるようになっていました。
そしてUO関係のBBSなどでも、自分の持っているナンバーを公表して同じナンバーを持つ人を探している人が多くいました。私の友人もその1人でした。
友人は自分のチケットナンバーとICQナンバーをUOボードに書き込み、同ナンバーを持つ人を探していました。
そしてクリスマスの日・・・ 友人はそのUOボードのメッセージを見たある人物とICQでコンタクトをとりました。
この日は年末休暇で、UOのGMサポートも休みになっていた日でした。私の友人はアカウントハックに関してまったく無警戒でした。
UOのパスワードも平気で uo.cfg に保存していたし、ICQナンバーもBBSやHPなどに平気で書き込んでいました。
私はパスワードに関してはいつも、保存せず手動で入力するよう言っていたのですが、「わかったわかった」みたいな感じでイマイチ聞いていませんでした。
ICQナンバーについてもBBSへの書き込みは危険と言っていましたが、やはりまったく気にしている感じはありませんでした。
やはり、「まさか自分が被害を受けることはないだろう」、「たぶん大丈夫だろう」という気持ちがあったのでしょう。
そして私自身も口ではそう言っていましたが、「まあ大丈夫かな?」とは思っていたし、ICQナンバーを連絡用にBBSに書き込む事は当時あたり前の様に行われていたので、ICQについてはあまり危険だとは思っていませんでした。そして今年の正月、1月1日元旦の日、紅白も各テレビ局の「行く年来る年」も終わったばかりの時間、友人から電話がかかってきました。
「おー、あけましておめでとー!」 と挨拶した私ですが、友人の声はすごく暗く沈んでいました。
そして一言、「それどころじゃない・・・」
「どうした?」 と聞くと、「UOの家がない。Bank の中身も全部ない・・・」この言葉に私も激しいショックを受けました。
去年の12月、家の建築法が改正されUO上の家が一度建て変えられました。
その時、私達2人はこの建替日に備えて2人で長い間協力し、2階建てを建てて共同で住もうと必至でお金を貯めていたのでした。
やっとの思いで建てた2階建て。 建てた時は2人で本当に嬉びあいました。
それが建てて何日も経たないこの日、何者かのアカウントハックによって完全に奪われ、消されたのです。
しかも私は前に住んでいた家から引っ越して荷物を整理するため、全てのアイテムをこの家の中に運んでいました。・・・全て、全てがなくなりました。
家を買うために全財産はたいており、アイテムも奪われ、もはや秘薬1つ残されていませんでした。 所持品以外、完全に何もかもなくしました。
友人は Bank の中身まで荒らされ、元々家も持っていなかったので、こちらも全てのものを失いました。
私がUOを辞める事を決意するまで、そう時間はかかりませんでした。
このHPも閉鎖する事に決めました。12月25日、友人はICQである人物からコンタクトを受けました。
相手は同じナンバーのクリスマスチケットを持っていると言っていたようですが、結局チケットの交換は行われなかったようです。
その際、相手から「チケットを探すのに使ってください」と、あるファイルが送られてきたそうです。
それは、「ticket.exe」というファイルでした。
友人は相手の説明を受け、何のためらいもなくそれを起動しました。
が、何か変だと思った友人は、すぐにそれを削除しました。
しかし時すでに遅しでした。 起動した時点で友人のIDとパスワードの保存された「UO.cfg」ファイルは、相手側に送信されていたのです。
そして12月31日の大晦日、その人物はアカウントハックを実行し、全てを奪い去っていったのです。
12月25日は年末の、12月31日は正月の、GMの休暇日でした・・・最大の原因は、アカウントハックに対する意識の低さだったでしょう。
パスワードの保存を止めるようにもっと強く言っておけば、ICQにもっと警戒しておけば、こんな事にはならなかったと強く後悔しました。
しかし後の祭、もはや失った物は何も戻ってきません。それから数日の間、Asuka BBS ではアカウントハックの話が持ち上がっていました。
私の友人と同じように「ticket.exe」でアカウントハックを受けた人はたくさんいたのです。
年末から正月三が日の、GMが休暇の間に、何人もの人がこのハッキングで全財産を失っていました。
ネットワーク犯罪者は、確かに存在するのです。「ticket.exe」ファイルのハックの話はその年の4月までBBSなどで出ていました。
それからは聞かなくなりましたが、今でもきっと、このファイルはどこかで生きていると思います。私は結局、いろいろな人の励ましなどを受け、その後なんとかUOに復帰しました。
HPも再開し、そして今に至っています。 もうそれから長い時間が経ちますね。
しかし、がんばって溜めてきた財産、アイテム、お金、それら全てを何の前触れもなく見知らぬ人に奪われてしまったため、UO を熱中してプレイする事も減ってしまいました。
友人はアカウントハックにも全く懲りずにUOを続けていましたが、仕事で転勤になったため、その後は引退しています。アカウントハックは人ごとではありません。
いつ自分が被害にあうかわりません。 「自分は大丈夫だろう」 は甘すぎます。
UOのパスワードはゲーム毎に手動で入力し、保存しないようにしましょう。
ICQナンバーをむやみに公開しないようにしましょう。
知らない人から送られてきた exeファイルは開かないようにしましょう。
ネットワークにハッキングはつきものです。
それでなくても匿名の世界、顔の見えない犯罪は罪悪感も薄れるものです。
みなさんもアカウントハックには十分注意して下さい。