怪談、 ある夏の・・・
(2000年8月記)

夏です。 夏と言えば定番なのが・・・ 怪談!

と言う訳で、お盆は少し過ぎましたが、今日は私が実際に体験した、ある不思議な話をしようと思います。
それは今から何年か前の、ある暑い夜の出来事でした・・・

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その夜、私はいつものように布団で寝ていました。

・・・が、ふと、眠りから覚めました。
でも、目は開けていません。 目を閉じたまま眠りからだけ覚めた、という感じです。
そして、胸の上に・・・ 何かがあるのです。

最初は、自分の手かな? と思ったのですが、自分の手は伸ばしているのが自分で分かります。
地震でもあって何か物が落ちてきたのかな? とも思いましたが、特に落ちてくるような物は近くにありません。

でも、そんな疑問も、自分で手を動かして触ってみればわかる事です。
ところがなぜか・・・ 手を動かす気になれないのです。
動かないのではありません。 動かす気になれないのです。
でも、動かして確認はしたいので、一生懸命動かそうとするのですが・・・
なぜかどーしても動かす気になれない。
「よし、じゃあ手を動かしてみよう。 せーの!」 とか、
「よし、イチニのサンで動かそう。 イチニの・・・ サン!」 とか、一人で色々やってみるのですが、どうしてもダメです。
不思議と、踏ん切りが付きません。

そうこうしているうちに今度は・・・ 背中の方にも何かがあるのです!
胸の上に何かがあるのは、物が落ちてきたとか色々考えられるのですが、背中の下に何かが落ちてくると言う事はありませんし、寝る時に背中の下に何かあったら寝る前に普通気づきます。
でも、なぜか、背中側にも何かあるのです。

例によって、自分の手かな? とか思うのですが、胸の上に手を置いて寝るのはともかく、背中に手を回したまま寝ないよなーと思いますし、寝相が超悪くてそうなった、とも思えません。

で、これも手を動かして確認すればわかることなのですが・・・
やはり動かす気になれません。 どうしても。
そしてまた一人で、「はい、じゃあ、おもいきって動かしましょうー。 ハイ!」 とか1人でいろいろやるのですが ^^; 、やっぱり動かす気になれません・・・

そして、しばらくそのまま一人で奮闘しているうちに、今度は・・・
隣に誰かがいる気配がするのです!

気配・・・ と言っても、 「気配」 なんて、普通はマンガとかドラマとかの話でしか出てこないものです。 実際、気配なんて、感じる事などありません。
しかし、その時はなぜか、明らかに誰かが隣にいる「気配」を感じるのです!
「誰だ?」 と、もちろん思います。
家族の誰かがきて、ここで寝てるのかな? とも思いましたが、そう言う事は一度もないし、泥棒が入ってきたのかな? とも思いましたが、ますます不自然です・・・
そういう疑問も、見て確認すればすぐにわかります。
しかしやはり、目を開ける気になれません。 首を振る気にもなれません・・・

でも、このままじゃいつまでたっても同じ事です。 キリがありません。
そこで私は・・・ 気合を入れて、力をこめて、勢いよく右手を曲げる事にしました!

そして、しばらく力を貯めて、なぜか進まない気を押さえて、思いきって「せーの!」という心の中の掛け声と共に、右手を曲げてみました!
するとその瞬間、右手の関節部分に電気が走ったようなビリビリとした衝撃が!!
それはちょうど、腕のヒジを机とかの角にぶつけてビリビリと来るような感覚でした。
「ま、曲がらない!?」
曲げようとするたびに、そのビリビリが走ります。 曲がりません!

手がしびれてるのかな? とも思いましたが、寝てて手がしびれるなんて今まで体験したことも無いし・・・ 訳がわかりません!
右手がダメなので今度は左手を動かそうとしたのですが、やはりビリビリきて動きません。
そこで、手がダメなので、今度はおもいきって上体を起こして起きてみる事にしました。
そして、気合を入れて バッ! と起きようとすると、今度は・・・ 腹にビリビリが!!
しかも、おもいきり上体を起こそうとしたためか、今までよりも強い衝撃!
「うあーーっ!!」 と声を出しそうになりましたが、これも出せません!
「手や足が痺れるのは聞いたことあるが、腹が痺れるなんて聞いたことないぞ!?」

とにかく、曲げようとした瞬間だけその部分が痺れたようになり、動きません。
さらに、隣にいる誰かの気配はどんどん強くなっていきます。
今はもう、その時にどう言う風に感じていたのかよくわからないのですが、とにかくその時は、隣に誰かがいるのが、見てもないのにハッキリとわかるのです!
その人は私のとなりにいて、私の胸と背中に手を回して、抱きつくような感じで隣にいるのです!

そして私はやっと、その状況が普通でない事に気づきました。
「もしかして、今、ピンチなのでは・・・?」 (ちょっとニブイ・・・)

何かヤバイと思い、その後も一人でいろいろもがきますが、どうしても動きません。
目を開けようとしても、まぶたが痺れたようになります。
しかも耳元では、隣にいるらしい人の・・・ 息づかいも聞こえ始めます!
それは明らかに、自分のものではありません!
ここに来て、私はさすがにこう思いました。
「もしかしてこれって・・・ かなしばり!?」

ちょっと意味不明の事態が続いて混乱していましたが、ここにきて、明らかに異常な状況であることがわかってきました。
そして、もしこれが本当に かなしばり だとしたら、普通に動こうとしても動かないだろうとも思いました。
そこで私は、一旦落ちつき、精神を集中させ、完全に精神統一が出来た所で、おもいっきり飛び起きてみようと思いました。
気合を入れて動かそうとしてもダメだったので、逆の発想です。
そうこうしている間もずっと耳元では息づかいが聞こえているので、はやく何とかしないとヤバそう!

そして私は、スーーッと思念を集中させ、精神を統一させました・・・

するとその瞬間、フッ! と、隣にいる気配が消えました!
さらに周囲全体が、スッ、と普通の状態に戻ったような感覚を受けました!
その後は完全に、自分も辺りの空間も普通な感じです。
と言うより、普通に戻ったので、それまでが異常だったことがわかりました。

「なんだ?」 と思い、誰かのいる気配のしていた隣を見てみますが・・・
別になにもありません。
そして・・・ 「ああーっ、今、目を開けて隣を見れてるぅ〜!」 と、感動。(^^;
そして、とりあえず電気をつけよう、と思い、上体を起こして蛍光灯のヒモを持ち、
「ああーっ、今、起きて電気をつけようとしてるぅ〜!」 と、また感動。(^^;;

ひとしきり感動したところで、電気をつけて部屋を明るくし、周囲を見渡すと・・・・・・
別になにもありません。 特に誰もいません・・・。

結局、その後は何もなく、何も見つからず、いつもの夜に戻りました・・・

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あの出来事は何だったんだろう?  あの時の気配は誰だったんだろう?

今でも思うことがありますが、結局それはわからないし、わかる事はないでしょう。
その後、私がこういう体験をした事は、一度もありません。

みなさんも今宵、お休みの際には、十分お気をつけを・・・