コンシュマー(家庭用)ゲームウルティマシリーズ紹介
(2001年10月記)

先日、BNN でついに「エクソダス」が登場し、昔からのウルティマを知る人に話題になっていますね。
シャミノまで出てきて前回のシナリオとは一風変わった注目のストーリーになっており、おまけに「徳のシステム」まで登場し、本家のウルティマの設定が注目を浴びています。

と言っても、昔のゲームを知らない人だとなんの事か全然わからない人も多いでしょうねー。
実は私自身、ウルティマの本家シリーズをパソコンでプレイしたのは昨年発売された ウルティマ9:アセンション が初めてだったりします。
でも、残りのウルティマシリーズの多くをコンシュマー(家庭用)ゲームでプレイしています。

と言う訳で・・・ 今日はファミコンなどのコンシュマーゲーム機で過去に発売されたウルティマシリーズの紹介をしようと思います。
中には今でも入手可能なものがあると思うので・・・
興味のある方はプレイしてみるといいかも。


=ウルティマ 恐怖のエクソダス= (ファミコン ・ 1986? '87?)

「Ultima III. Exodus」をファミコンに移植した、家庭用初のウルティマです。
初代ドラクエが1986年に発売され家庭用ゲームで RPG の大ブームが起こりますが、その時にいち早く発売された RPG で、「RPG の元祖・ウルティマの移植!」と大々的に宣伝され、かなりヒットしたゲームです。

Exodus とは I のボス「モンデイン」と II のボス「ミナクス」の子で、正体は世界の破滅をプログラムされたコンピューターでした。

ゲームは4人パーティーのフィールド型 RPG ですが、戦闘は各キャラを自分のターンに1マスづつ動かす SLG(というか将棋)的なタイプです。
敵キャラは地上では見えているので、かわして移動する事も出来ますが、ダンジョンは3D視点のウィザードリィ型のものとなり、敵も突然出現します。
パワーアップはレベルのほか、渦の中に入る事で行ける「アンブロシア」という別の世界で、神殿で寄付をする事でステータスアップしました。

今見ると世界も狭く、画面も粗いですが、当時としてはかなり遊べたゲームで、BGM も良かったですねー。
エクソダスはコンピューターだったのですが、それを止めるには4枚の「黒い板」
(カード・石版)が必要でした。
この「黒い板」、実はフロッピーディスクの事なのです。
今だと CD や MO ですが、黒いフロッピーだったのはちょっと当時を思い起こさせますね。

なお、王様とか街の人とかに平気で戦闘をしかけたり、商店の宝箱を盗んだり出来るとんでもないゲームでもあって、そうするとガードがわらわら来てボコボコにしてくれるなど、ちょっと UO らしくもあったりします。^^;
もちろん王様は無敵で、これはウルティマシリーズの常識です。(^^;

ただウルティマの I・II・III は、マップや設定などは UO を含む後のウルティマとはあまり関連はありません。
UO は I の後の話ですが、世界設定は IV を元にしています。
当時の世界は、ブリタニアではなく「ソーサリア」と呼ばれていました。



=ウルティマ 聖者への道= (ファミコン ・ 1989?)

名作として名高い「Ultima IV. Quest of the Avatar」をファミコンに移植したもので、これも話題作となりました。
グラフィックは当時のファミコンのレベルとしては高水準で、ゲーム自体の操作性・完成度も高く、はっきり言ってパソコンの Ultima IV より全然上です。

ゲームは4人パーティー制、ダンジョンは3D、戦闘はキャラのコマを1ターンごとに動かすものと言った感じで、システムには III と大きな変化はありません。

このゲームの特筆すべきは、そのゲームの「目的」でしょう。
このゲームのブリタニアは平和で安定した時代であり、各地にモンスターが出没しているものの、悪の侵略も戦争もありません。
主人公は8つの美徳を極め「聖者」となるべく、自分自信の修行のために旅に出ます。
当然、悪のボスキャラが出る訳でもないし、お姫様や王様がさらわれる事もありません。
こんな設定のゲームは今までなかった訳で、それは大きな話題となりました。

8つの「徳」を極めるには、普段からその徳を実践する必要がありました。
つまり、物を買ったら料金を正直に払い、乞食にあったらお恵みをし、敵に遭遇したら勇敢に戦い、質問されたら正直に答えます。
そして、それらの普段の行動が自身の徳の評価に少しづつ繋がって行くのです。
徳を積んだと評価されたら、相反するダンジョンで徳のルーンを、対応する街でマントラ(呪文)を手に入れ、神殿で瞑想する事により徳を極めます。
8つの徳を極め、最後のダンジョン「Abyss(アビス)」にて究極の知恵の写本「コデックス」の前で真理を答える事により、主人公は聖者アバタールとなります。

世界のマップ、神殿、徳の理念、それらの基本が出来あがったのは全てこのウルティマIV においてであり、UO もこの IV をベースとして作成されています。
ウルティマが哲学になったと言われる、奥の深い作品でした。
でも相変わらず、王様にケンカ売ったりも出来ます。
^^;
魔法を使うのに「秘薬」が必要になるのも、ちょうどこの作品からでした。



=ウルティマ VI 偽りの預言者= (スーパーファミコン ・ 1991)

「Ultima VI. False Prophet」をスーパーファミコンに移植したものです。
グラフィックはかなり細かく、UO に近いものもありますね。
操作性などもとても良好です。
実際、アイテムや武器の種類、装飾など、かなり UO に 似通っていたりします。

この作品のストーリーは今 UO のシナリオ(シナリオ2)でも展開されている、ガーゴイル達のストーリーとなっています。

ブリタニアの各地がガーゴイルに襲撃され神殿も占拠されますが、それはかつてアバタールが究極の知恵の写本「コデックス」をガーゴイルの世界から持ち去ったためであり、アバタールはイオロやデュプレ、シャミノなどのお馴染みの仲間と共にガーゴイルとの和解、そしてコデックスの元の場所への安置と、それを読むためのレンズの作成のための旅を続けます。

ゲームは街と他のフィールドとの区別がなくなり、UOの様にマップ上にそのまま建物や街がある形になっています。
戦闘も戦闘画面に切り替わらずそのまま始まりますが、戦闘方式は従来のウルティマと同じく、ターンごとにキャラクターをマス上を移動させて攻撃させるタイプです。
ダンジョンは3Dではなく、普通の2Dの画面になっています。

このゲームは当時の他のコンシュマーゲームの RPG と比べ、世界が非常に広大であり、謎も多く、またシナリオの自由度も高かったため、当時は「スーパーファミコン史上最も難解な RPG」とさえ言われていました。
実際にはクリアまでにやらなければならない事はそれほど多くなかったりするのですが、「世界の広さ」 「自由度の高さ」などから、当時このゲームが他の日本のゲームと比べ、かなり別物だった事は確かでしょう。
ある意味、この点でも UO に似ているとも言えますね。

私はこのゲームはかなり好きで、今までに5回以上はクリアしています。
UO をやった時、私はこのゲームを思い出して、逆に懐かしく思ったりもしました。
非常に奥の深い作品で、じっくりと楽しむゲームですね。



=ウルティマ外伝 黒騎士の陰謀= (スーパーファミコン ・ 1994)

これはオリジンが家庭用ゲーム機用に作ったオリジナル作だと思います。
日本版は海外のもののメッセージを日本語に変えただけです。
ゲームはパズル性のある単純なアクションゲームになっており、グラフィックや動きは チャチなもので、PRG 性にもゲーム性にも乏しく、はっきり言ってウルティマじゃないです。
近年はマシになって来ていますが、日本と比べると海外の家庭用ゲームソフトの開発技術は低いため、このゲームも「その程度」って感じですね・・・
まあ、ウルティマとは別物と考えた方がいいです。
ちなみに「黒騎士」は、ウルティマ V で登場したボスがモデルのようです。



=ウルティマ VII ザ・ブラックゲート= (スーパーファミコン ・ 1995)

「Ultima VII  The Black Gate」をオリジンがスーパーファミコンに移植し、それを日本語化したものです。
基本のプログラムは上記のウルティマ外伝のものを流用しているようで、画面構成も似通っており、つまり・・・
グラフィックも動きも、日本で移植されたウルティマと比べるとかなりショボイです・・・

ゲームは外伝と同じく、1人で行動するアクションゲームとなっています。

実はウルティマ7は宗教的なストーリーであるためか、日本ではパソコン版は発売されませんでした。
近年になって「ウルティマ コレクション」というウルティマがまとめて入っているパッケージに同梱され、日本でも発売されましたが、これもマニュアルのみ日本語で、ゲーム自体は英語版のままです。
つまりこのスーパーファミコン版は唯一の「ウルティマ7」の日本語版であり、その意味では貴重なのですが・・・
でも、やっぱりゲームとしての移植度が低くく、ゲーム自体がイマイチなんだよねぇ・・・(T-T

ストーリーは「フェローシップ」という教団が徳を独自解釈してブリタニアに広めつつ、逆らうものや脱会者には容赦ない処罰を与え、その背後にはブリタニアを征服しようという「ガーディアン」という存在がいるという、要するに某宗教団体みたいな相手がこのゲームの敵です。
フェローシップは会得し辛い「徳」を簡単に解釈してわかりやすくし、さらに独自の概念も盛りこんで(ある意味、内容を捻じ曲げて)広めており、これは宗教的な意味合いも含めて、キリスト教(特にカトリック)の力の強いアメリカでは様々な反響を呼んだ様です。



=ウルティマ外伝 恐竜帝国= (スーパーファミコン ・ 1995)

オリジンが作った海外のウルティマ外伝のスーパーファミコン移植版で、それを日本語化したものです。
基本のプログラムはウルティマ外伝やウルティマ VII のものと同じようですので・・・
やはりグラフィックも動きもイマイチで、ゲーム自体は大したものではありません・・・
ゲームもこれらと同じくアクションゲームです。
ストーリーは完全な外伝で、本家のウルティマとも全く関係はありません。

しかし注目なのは、そのタイトルでしょう。
画面を見てすぐわかった方が多いと思いますが・・・
そう、あの UO でサベージ族の登場した最初のシナリオ、「サベージ・エンパイア・シナリオ」と同じ名前です。
つまりあのサベージ族も、そのシナリオ名も、ウルティマシリーズに元々存在していた訳ですね。
あれも実は元があった訳です。



=ウルティマ アンダーワールド= (プレイステーション ・ 1997)

このゲームもウルティマの本筋とは異なる外伝的な話で、開発した会社も別会社、オリジンはシナリオのみ提供しています。

ウルティマの最終ダンジョン「アビス」が舞台の3D視点のRPG で、ゲームは「スムーズに動くダンジョンマスター」と言った感じです。
日本のゲームではプレステで発売された「キングスフィールド」に似ていますね。

ウルティマの本家シリーズとは直接関係のないものですが、アメリカではその年の最も優秀なゲームに送られる賞、「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」を受賞したほどの大ヒット作です(1992年度)。
日本ではプレステで発売されたのですが、操作性なども良好で、やや暗い雰囲気ですが楽しめる作品でした。
ただ、謎解きの難度はかなり高いので、攻略本などがないとクリアは辛いかも・・・

8つの徳のシンボルアイテムが登場するなどウルティマっぽい所もありますが、別物のゲームと考えた方がいいでしょう。
でも大きな賞を取ったぐらいですし、面白いことは確かです。
アメリカでは 2 も発売され、こちらも大ヒットとなりました。
アイテムには UO っぽいものが多くありますね。


と、言う訳で、全部で7つでしょうか・・・
意外とあるなぁ、と思われた方が多いんじゃないでしょうか?
まあ、オリジンが移植したスーファミ版の3本は日本では知名度が低いし内容もイマイチなので、知らない人がほとんどだと思いますけどね。
アンダーワールドも日本では知らない人が多いでしょう・・・

ちなみに私は、ウルティマの I と II はゲームブックでやりました。
って、ゲームブックなんて知らない人が多いんだろうなー。
(^^;

あと、まだファミコンに RPG がなかった頃、パソコン雑誌などを読んで RPG にあこがれていた私は、III の紹介誌や攻略誌なんかを買って集中して読みプレイした気分になってました。
だからファミコンで発売された時は凄く嬉しかった記憶があります。
うーん、もう昔の話ですね・・・